PFSの観測装置の中でも『メトロロジカメラ』は、ファイバーの焦点面における位置を測定するために使用され、台湾のASIAA(中央研究院天文及天文物理研究所)が開発を担当しています。すばる望遠鏡の下部、カセグレン焦点に取り付けられる小型の望遠鏡です。主焦点を見上げるようにして、後ろから照らされた約2400本のファイバー像を大フォーマットのCMOSカメラ(8960 ピクセル x 5778 ピクセル)を使って撮影し、その中心位置を測定します。
前回の記事から約一年、メトロロジカメラは設計変更を経て台湾で組み上げが完了し、現在は性能評価を行っています。傾きを変えることができる試験台の上に載せ、像質や位置測定の精度や速度、といった様々な性能やその安定性を評価しています。
左:台湾で試験中のメトロロジカメラ。傾きが変えられる試験台に載っています。
右:メトロロジカメラに取り付けるカメラモジュール。中央に見えるのはCMOSカメラ。
性能評価試験にはソフトウェアも重要です。ASIAAでは先に述べた画像取得、中心位置測定、また装置の状態をモニタリングするソフトウェアが開発されていますが、個々のソフトウェアをPFSの枠組みに統合する準備をしていく必要があります。2018年1月22日から26日にかけて、装置制御ソフトウェアのグループが会議を行いました。今回の会議では、メトロロジカメラの各ソフトウェアの開発状況や、PFSの枠組みへ統合する準備ができているか、他の装置との共通すべき点などが話し合われました。その為、分光器の組み上げ試験でソフトウェアの開発を行っているプリンストン大学とマルセイユ天文台からソフトウェア担当者を会議に招き、プロジェクトオフィスやASIAAのメンバーと議論や作業を行いました。
今後AISAAでは、ハードウェアとソフトウェアの両面から総合的に統合・試験が進められていきます。メトロロジカメラの輸送は今年の春を予定しています。