よりよい装置にするために…2

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2024年3月に行われた試験観測の前に、PFSの観測装置は大きな修正を2つ行いました。

一つはメトロロジカメラの再調整作業です。「メトロロジカメラ」はすばる望遠鏡のカセグレン焦点に取り付けられる装置で、主焦点に並べたファイバーを動かすときにその位置を測定するカメラです。(測定を意味する「メトロロジ=Metolorogy」からその名前がついています。)実は2023年12月、望遠鏡試験の直前の装置交換の時に事故があり、その結果メトロロジカメラの像質が大きく変わってしまったことが発覚しました。幸いにも12月の望遠鏡試験には影響が小さかったのですが、今後の試験観測や運用の為には再調整が必要と判断され、2024年1月に台湾の中央研究院天文及天文物理研究所 (ASIAA)のチームを迎えて再調整作業を行いました。この時、メトロロジカメラの像面で像の大きさが均質になるようにも調整しました。

もう一つは分光器の効率回復する為の修正作業です。最後2台の分光器をすばる望遠鏡で再組上げしたときに、VPHGと呼ばれる光学部品の向きの修正を行ったことを紹介しました。この時は4種類あるVPHGうちの3種類だけ向きの修正を行いました。赤の中分散用のVPHGは両側にガラスが付けられており、同じように修正できないためです。この中分散用の修正治具(下の左の写真)はプリンストン大学とジョンズ・ホプキンス大学がマルセイユ天文物理研究所(LAM)と協議しながら設計・製作を行いました。そしてLAMからチームを迎えて2024年02月に修正作業を行いました。この作業のおかげで全ての波長と分散モードで装置効率が回復しました。

3月の試験観測ではこれらの修正をした後の装置性能の確認や、必要になったソフトウェアの最適化も行っていました。