試験観測がありました

      試験観測がありました はコメントを受け付けていません

2024年3月8日から17日にかけて、数か月振りに試験観測を行いました。2023年12月に望遠鏡試験を行っていますが、4台の分光器そろっての試験「観測」は今回が初めてです。この試験観測の前にPFSの装置は重要なアップデート作業がありましたが、そのお話は後日紹介します。

今回の試験観測も10日間と長い期間でしたが、マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡やヒロ・三鷹のリモート観測室、またzoomから10人以上のメンバー(プリンストン大学、中央研究院天文及天文物理研究所、東京大学カブリIPMU、そして国立天文台ハワイ観測所)が観測に参加しました。

試験観測の前半は、天候がよくないのもありましたが、観測データ処理に必須の較正データの取得や、主焦点面上でのファイバーの位置を測定するソフトウェアの更新を行いました。このソフトウェア更新の結果、ファイバーを目標位置に動かすときの収束率が向上しました。観測の後半は、ファイバーを星や銀河に向け、ファイバーの配置精度やガイドカメラとファイバーの焦点位置の比較、装置効率など、総合的な装置性能を評価するための試験を行いました。約2400本の星や銀河のスペクトルを一度に取れるのは非常に圧巻です。

次回に予定されている試験観測まで半月あまりですが、今回の試験結果を反映させるためにチームで解析を進めています。

ある天域を900秒露出したスペクトル。横線一本一本が星や銀河のスペクトルでそれぞれの分光器の2つないし3つのカメラのデータをつなぎ合わせています。2023年7月に比べてスペクトルの数が2倍になりました。

また、PFSプロジェクトではハワイ観測所のメンバーを中心に共同利用観測運用の準備も進めており、今回の試験観測ではその試験も行いました。複数のプログラムで視野を共有しながらキュー観測を進めることを目指していますが、視野内のファイバー配置のデザインとキュー観測手順を準備しそれを実行することに成功しました。現在は試験のフィードバックをチームで議論し、観測結果を次の観測に反映させる部分の開発や議論を進めているところです。

余談ですが、今回の観測に際しチームのメンバーが赤外検出器の健勝を祈願する神社を創作して下さいました。検出器を構成する元素(Hg、Cd、Te)を象徴するもの祀られていますています。神社が分光器室にあるご利益もあってか、検出器は観測期間中よく動いていました。