今回はとりわけ大きなニュースを紹介します。ついに12台の分光器カメラがすばる望遠鏡に揃いました!
PFSの分光器はフランスのマルセイユ天文物理研究所(LAM)、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学(JHU)、プリンストン大学、ブラジルコンソーシアム、日本のKavli IPMUがBertin Winlight社と協力して開発を進めてきました。4台の同型の分光器を使い、約2400本のスペクトルを一度に観測します。それぞれの分光器には青、赤、近赤外のカメラがあり、380nm-1260nmの広い波長範囲のスペクトルが得られます。分光器は4度に温度管理がなされた特設室に設置されています。
近赤外カメラの製造はJHUが担当していましたが、近赤外検出器の効率に問題が発覚したために、既にすばるに輸送されていたカメラを送り直して検出器の修復を行っていました。修復後の検出器を備えたカメラの性能が確認され、2024年7月にJHUから再輸送されました。
輸送は予想以上に長く、アメリカ東海岸からハワイ島まで来るのにに1か月もかかってしまいましたが、2024年8月12日にすばる望遠鏡に到着し、すばる望遠鏡のデイクルーやスタッフの助力のお陰でその日の内に分光器に組み上げられました。分光器用の特設室を建設してから7年、最初の分光器の組み上げから5年かかりましたがついに12台のカメラが揃い、これでPFSの装置は全てすばる望遠鏡に設置されました!
現在は近赤外カメラの真空引きと冷却を完了し、アライメントの確認をしているところです。8月末から予定されている試験観測では装置がすべて揃った状態で観測をする予定です。全波長が揃った2400のスペクトルを見るのが楽しみですね。