6月にメトロロジカメラをすばる望遠鏡に搭載しての試験を行ってから4か月、2018年10月23日から25日に再びすばる望遠鏡でメトロロジカメラの試験を行いました。今回は夜間に望遠鏡を使いましたので、初めての PFS 試験観測です!
メトロロジカメラは、主焦点にあるファイバーの位置を測定するための装置です。分光器の側(後方)から照らした約2400本のファイバー像を大フォーマットのCMOSセンサを使って撮影し、その中心位置を測定します。今回の試験観測の目的は、光学系の最終調整と主焦点に対するメトロロジカメラの位置合わせを行うことです。更に、「ドーム内シーイング」と呼ばれる望遠鏡ドーム内部での大気の乱れがファイバーの位置測定に及ぼす影響を調べること、メトロロジカメラのCMOSセンサから主焦点面の位置への座標変換に重要な光学系のゆがみを調べることも狙いました。
メトロロジカメラ以外のPFS 装置はまだ到着していない為、試験観測では、下図のように、すばる望遠鏡の主焦点面にピンホールマスクを取り付けて背面から照らし、ファイバーを照らした状態を作りました。
試験観測中のメトロロジカメラ。すばる望遠鏡の主焦点にピンホールマスク(右上)がついています。
試験観測にはメトロロジカメラの開発を担当した台湾のASIAA(Academia Sinica Institute of Astronomy and Astrophysics)とソフトウェアを開発した米国のプリンストン大学、プロジェクトオフィスの東京大学カブリIPMUのメンバーから合わせて約10名が参加しました。
光学調整ではメトロロジカメラでピンホールマスクの画像を取りながら、望遠鏡に載せる前と同じ像質が得られるようにメトロロジカメラの鏡の位置を調整しました。光学調整が終わった後は、ドーム内シーイングの影響や光学系のゆがみを調べるのに必要な大量のデータを取りました。今後は取得したデータの詳細な解析を行い、ファイバーの位置測定アルゴリズムの開発・調整を進めていく予定です。
試験観測中の様子。
左:光学調整をしているところ。右:即時解析したデータについて議論しているところ。