ファイバー配置モジュール輸送に向けて


米国のカリフォルニア工科大学(カルテク)では、NASAジェット推進機構(JPL)とブラジルとの協力の下に、ファイバーとそれを配置するアクチュエータ『コブラ』がモジュール(通称『コブラ』モジュール)に組み上げられています。先日紹介したように最初の『コブラ』モジュールの組み上げ・試験が終わり、主焦点装置全体の組み上げが行われている台湾へまもなく輸送されようとしています。台湾では、中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)と協力機関である中山科学研究院航空システム研究部門(ASRD)のメンバーが主焦点装置の統合・試験を行っています。
輸送を控えた2017年12月の中旬に、台湾のメンバーが1週間半カルテクを訪問し、ファイバー配置モジュールの扱い方や試験方法などを学び、輸送後に台湾で行う試験の準備を行いました。


図1:専用の輸送箱に収められた『コブラ』モジュール

滞在期間中に、上の写真の様に『コブラ』モジュールが入った箱が台湾へ届いたと仮定して、箱の開梱から光学ベンチ(今回は試験台)への取り付けまでの手順をカルテクとJPLのメンバーと一緒に通して行い、モジュールを扱う上での注意点等を確認していきました。また、台湾のチームが、カルテクで使用しているアクチュエータの機能試験・初期較正を行うソフトウェアの使い方を学び、解析方法について議論しました。


図2:コブラモジュールをベンチへ取り付けている様子

実際の運用時にファイバーを配置するソフトウェアは、ASIAAとJPLが開発しています。ASIAAはファイバー位置を測定する部分とファイバー配置全体を指揮する部分を担当し、測定したファイバー位置から目的位置に『コブラ』を動かす指令を送ります。一方で、JPLはその指令を受けて個々の『コブラ』を実際に駆動する部分を担当しています。この期間に、両者のソフトウェアモジュールを統合試験を行いました。また、ASIAAでは主焦点装置とは別にファイバー位置測定用のカメラシステム(メトロロジカメラ)の開発も行っています。カルテクとJPLはアクチュエータの較正・試験に同様のカメラを使用している為、アクチュエータやカメラの挙動についてのノウハウを培ってきています。その為、滞在期間中に、取得した画像からファイバーの位置を測定するかについても集中的に議論しました。


図3:試験台に設置した『コブラ』アクチュエータを動かすソフトウェアのデモをしている様子


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