システムを統合しての初めての望遠鏡試験を終えて2か月後、2021年11月に初めての試験観測を3日間行いました。今回は試験観測前後の活動についてお話しします。
9月の望遠鏡試験では、ファイバー配置などで大きく進展を見せた一方、主焦点装置(Prime Focus Instrument: PFI)に課題が見つかり、特に二つの改修作業が必要になっていました。一つはPFIの制御ボックス(各種電源や通信デバイスを集積したもの)を安定して運用させること、もう一つは装置ローテータを安全に動かせるようにスイッチを導入することです。
これらの作業をするために、台湾の中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)の職員が事前にハワイ観測所を訪問してPFIの改修作業をしました。結局今回は制御ボックスを新しく製作したものに取り換えることはできませんでしたが、これまでに使用してきた制御ボックスを修正、改善し、安定して動かせるようになっていたため、試験観測でもPFIを問題なく運用できました。装置ローテータ用のスイッチの導入は順調に進み、望遠鏡搭載前の試験も通過できたので、装置ローテータを動かして試験観測に臨むことができました。(実は9月の試験観測ではローテータの使用を制限されていました。)
今回の試験観測は3日間でしたが、ガイドカメラで初めて夜間に星の画像を取得できた記念すべき期間でした。主な試験項目の一つであったこのガイド機能の確認は、トラブルの影響もあり100%完了することはできませんでしたが、それでも概ね正しく動作することは確認できました。他にも前回はできなかった望遠鏡を倒してのファイバー配置の試験や、スペクトルの画像解析用のデータも取得することもできました。
2回の試験観測を終え、次回は約半年後に行われる予定です。それまでの期間、ソフトウェア、ハードウェア両面で試験観測中に見つかった課題や、今後詳細なデータ解析で見つかってくるであろう課題に取り組み、開発・準備を進めていく予定です。