装置を統合して最初の望遠鏡試験を行いました

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PFSプロジェクトは2021年9月に大きなマイルストーンを迎えました。主焦点装置、一台目の分光器、一本目のファイバーケーブルシステム、メトロロジカメラを統合した望遠鏡試験を行いました!

PFSプロジェクトの観測装置は主に4つのサブシステムから構成されます。すばる望遠鏡の主焦点に取り付けられる主焦点装置、カセグレン焦点に取り付けられるメトロロジカメラ、ドーム棟内の特設クリーンルームに設置される分光器、そして望遠鏡とドーム内を巡るファイバーケーブルシステムです。

星や銀河、夜空から来た光は主焦点装置の焦点面に敷き詰められたファイバーに入ります。2400本のファイバーにはそれぞれ二軸式のアクチュエーター(通称コブラ)がついていますが、メトロロジカメラを用いてその位置を測定しながら狙った位置にコブラを動かします。

主焦点装置で捉えた天体の光は、ファイバーケーブルを通って分光器のスリット部に届けられ、その後三色のカメラで分光されます。

PFS の模式図
(Credit: Kavli IPMU / NAOJ / PFS project)

2018年から本格的なサブシステムの輸送が始まって以降、これまでに、メトロロジカメラの性能評価のためにピンホールマスクを使った望遠鏡試験夜光調査のために小型望遠鏡SuNSSとファイバーケーブルと分光器を使った調査を行ってきていました。そしてついに、2021年9月、初めて輸送されたサブシステムを全てつなぎ合わせ、望遠鏡に搭載しての試験を行いました。

今回の試験観測の主な目的は、コブラの駆動に必要なキャリブレーションを望遠鏡に載せた状態で行うこと、スペクトルのデータ解析に必要な較正ランプのデータを取ることでした。メトロロジカメラの像質やシーイングによる影響も実際のファイバーの光で測定しました。

約2週間にわたる長い試験期間でしたが、ハワイで試験に参加したメンバーだけでなく、台湾、プリンストン、フランスのマルセイユ、そして日本と、世界中の開発メンバーが積極的にzoomで試験に参加し、取得したデータの解析や議論を活発に行いました。その甲斐があり、天頂に向けた状態でコブラキャリブレーションは終え、これまでと同じような精度(主焦点面上で約10um)で動かすことに成功しました。また、メトロロジカメラの像質やシーイングの影響も前回の試験観測の時と同等であることが確認されました。最終日には夜光スペクトルを撮ることもできました!これらのデータを利用してデータ処理ソフトウェアの開発などが進められると期待しています。

一方、試験観測からいろいろな課題が見つかったり、実行できなかった試験項目もありました。今後はこれらの課題にひとつひとつ取り組み、次回の試験観測へと進んでいく予定です。