PFSプロジェクトの観測装置はファイバーを使って星や銀河からの光を望遠鏡から分光器へ運びます。このファイバーは全長約60mある長ーいケーブルです。以前の記事(https://pfs.ipmu.jp/blog/ja/2017/04/p1131)で紹介したように、ファイバーケーブルは英国のPPC Broadband 社の工場で製作された後、ブラジルの LNA に輸送され、作業は次の段階に入りました。
ファイバーに引っ張りや圧縮のストレスがかかると、ファイバーから出た光はぼやけてしまいます。それを防ぐためにケーブルの構造を工夫し、試作を通して製造方法を確立しました。その後2019年5月に8本のケーブルが完成しました。
ブラジルでは、ケーブルにファイバーコネクタや、コネクタ同士の接続を確認するための装置を取り付け、ファイバー端面の研磨を行うなどしてケーブルを「仕上げ」ます。作業を始めるにあたり、設計・工程審査会を6月に行いました。また、輸送前と輸送後にそれぞれ光を入れて試験を行い、ファイバーにストレスがかかっていないことを確かめました。同様の試験をブラジルでの工程完了後や望遠鏡への敷設前後にも行う予定です。 輸送後の検査や試験を終え、ブラジルでは最初のケーブルの組み上げ作業が始まっています。年内にすばる望遠鏡へ輸送することを目指しています。
図1(上):ファイバーケーブルを梱包する様子。
図2(下、3枚):光学試験(Focal Ratio Degradation = 「口径比変化」測定)の様子。