1本目のファイバーケーブルがすばる望遠鏡に敷設されました

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PFSプロジェクトでは最近大きなマイルストーンを二つ迎えました。今回と次回の記事で紹介します。 まずひとつめのマイルストーンですが、昨年末に届いたファイバーケーブルがついにすばる望遠鏡に取り付けられました!

左:すばる望遠鏡のスパイダーアームに取り付けられたファイバーケーブル
右:2019年12月に組上げられた分光器と接続されたファイバーケーブル

PFSプロジェクトではすばる望遠鏡の主焦点にペンくらいの大きさのアクチュエータが付いたファイバーを並べて約2400天体のスペクトルを、ドーム棟に設置する4台の分光器を用いて観測します。このとき主焦点から分光器の置いてある部屋まで光を運ぶのが全長55mの「ファイバケーブル」です。

ファイバーケーブルシステムの模式図

ファイバケーブルがねじれてしまうとストレスがかかってしまいファイバから出る光の像質が悪くなってしまいます。特に、望遠鏡の姿勢によってファイバーにかかるストレスが変わると、安定した像が分光器に入射しない為、スペクトルの処理がきれいに出来なくなります。その為、なるべくケーブルがねじれないように望遠鏡に取り付ける必要があります。

ねじれないように敷設する方法は、試作ケーブルを用いて固定方法を検討してきました。更にケーブルに目印をつけ、それぞれの場所でのケーブルの位置の確認を行うようにしています。取り付けは、2021年2月に、二日間に分けて行われました。一日目に望遠鏡の筒先にあるスパイダーアームからドーム棟に入るまでの取り回しを行い下の図の(1)ー(4))、二日目にドーム棟の下の階から分光器がある階まで引き上げました(下の図の(5)ー(7))。敷設の途中で像質が変わらないことを確認しながら行いました。

敷設の様子。一日目に、(1) ケーブルの半分を上に吊り上げ、(2) 望遠鏡の筒先に取り付け、(3) 望遠鏡の側面を這わせ、(3) ドーム棟へケーブルの残り半分を通しました。二日目に、(5) ドーム棟の下から (6)上の階にケーブルを引っ張り上げ、(7) 分光器がある階へケーブルを敷設しました。

ハワイ観測所のデイクルーを始めとするスタッフの見事な連携で無事に敷設が完了し、ファイバーケーブルと分光器をつなげることが出来ました。今後主焦点装置が輸送されればいよいよシステムをつなげた試験が始まります。

実は今回ファイバケーブルと一緒にすばる望遠鏡に取り付けられたものがあります。次回はそのお話をする予定です。