2023年6月初め頃にマイルストーンをまた一つ迎えました。ついにファイバーケーブルの望遠鏡への敷設が完了したのです!
PFS観測装置の中で、ファイバーケーブルはすばる望遠鏡の主焦点から分光器まで天体の光を伝達するための約2400本の光ファイバーで構成されるケーブルです。分光器の数に合わせて、600本ずつの4組のケーブルにまとめられています。
ファイバーケーブルはブラジル宇宙物理実験局とカブリIPMUがダーラム大学の協力の下に製造と組み上げを担当し、2022年6月までに4組全てが国立天文台ハワイ観測所に輸送を終えました。その後、すばる望遠鏡に取り付けるタイミングを調整していましたが、2023年2月に3本目の敷設を終え、6月には4本目の敷設を行いました。
敷設は前の3本と同じように2段階に分けて行われました。1日目に望遠鏡の主焦点から望遠鏡の下部(上の図の青い星印)まで配線をし、2日目に残り半分のケーブルを分光器室のある4階まで引っ張り上げました。敷設によってファイバーがねじれたりストレスがかかったりしてしまうと、分光器で出射する光の像質が劣化します。それを防ぐために、ケーブルの向きに気を付けながら敷設を行いました(詳しくはこちら)。
すばる望遠鏡のデイクルーとPFSチームの約10人が協力して敷設に取り組みました。ケーブルは50m以上と長いので各所に散らばっているチームの連携が重要でした。
敷設後にファイバー像をモニタリングした結果、ファイバーにストレスがかかっているかもしれないと分かり6月下旬に取り回しの調整が行われました。現在は調整後の様子を調べているところです。
余談ですが…ファイバーを敷設した日は5月も末でしたのに雪が降りました。