2018年4月に最初のファイバー配置モジュールがカリフォルニア工科大学から台湾へ輸送されてから2年、全てのモジュールの輸送が完了しました。
PFSはファイバを使って天体を観測する装置です。ファイバを天体に向けるためのモーター(通称「コブラ」)を組み合わせた「コブラ」モジュールは、アメリカのカリフォルニア工科大学とブラジル国立天文台 (LNA)が協力して製作しました。
今回は「コブラ」にまつわる数字を少し取り上げてみます。「コブラ」は直径約8m弱、長さ10cm程度、とペンくらいの大きさの2軸モータになっています。この精密機械に太さ200μm、長さ6mのファイバが取り付けられています。「コブラ」モジュール1個当たり、ファイバが付いた「コブラ」が57本、8mm の間隔、つまりほとんどすき間なく2列に並べられています。 「コブラ」モジュールを42個主焦点上に敷きつめることで2394個の天体を同時に観測することができます。
これを聞くと「コブラ」モジュールの製造は非常に手間がかかると想像できると思います。実際に大変で、スペアを含めて44個のモジュールを、カルテクのチームがひとつひとつ組み上げていき、モジュールの仕上がりや性能に問題が起きる度に組上げ行程を見直し、議論ながら、製造してきました。
組上げ自体は半年以上前に終了し、その後は「コブラ」が目的の位置に動くか、台湾で最終組上げや試験をする時に気を付けておくべき「コブラ」はいないか、といった輸送前の性能評価試験を行っていました。その試験も今年の最初に終わり、後は輸送を待つばかり、といったところでCOVID-19の影響で最後の5モジュールだけ輸送を待っている状態でした。
しかし、台湾での統合試験が進行する中、2020年5月頭に、 輸送作業時の安全性などを配慮した上で 最後のモジュールが輸送され、無事に台湾に届きました。今は台湾で搭載前の試験、準備が進んでいます。
カルテクのの皆さん、お疲れ様です!