近赤外カメラユニット1台目、組み上げ中

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今回は、ジョンズ・ホプキンス大学で進んでいる分光器の近赤外カメラの開発を紹介します。
PFSプロジェクトで開発している分光器は可視光青、可視光赤、近赤外の3台のカメラを使って、380nm~1260nmの広い波長帯域のスペクトルを一度に取得します。近赤外カメラは、真空冷却装置を付けた容器の組上げも、カメラの中の光学系の組上げも全てジョンズ・ホプキンス大学(JHU)とプリンストン大学(PU)が担当しています(※)。

近赤外カメラユニット

赤外線では熱を持ったものが光って見えるため、可視光では「黒く」て見えないものも、赤外線では「光源」として明るく輝いて見えることがあります。つまり、カメラ内部の部品が「光源」となり、ノイズの原因になることがあります。これを防ぐために、近赤外カメラには、カメラ内部から出た光が壁で反射して検出器に入るのを遮断する「シールド」という部品をつけたり、レンズに特殊なコーティングを施したりします。

JHUでは、真空冷却機能や制御といった基本的な機能試験、光学性能試験、最終組上げ試験、と何段階かに分けて組上げと調整作業を行ってきています。
現在は、一部試験用のレンズや鏡を使いつつ、光学性能試験を行っているところです。試験用に、ピンホール画像が取れる装置を取り付け、検出器上の各位置での焦点と像の焦点位置や形状を見ながら光学系の組上げが想定通りになっているか、どこに改善点があるかを調べています。

新型コロナウィルスの感染拡大で台湾を除くPFSの参加各機関も在宅勤務を行っています(2020年4月15日現在)。その為、実験室での開発活動は中断せざるを得ない状況ですが、リモートで装置を制御、データを取得できています。データを取得しながら、像質や光学系の位置、改善点についてオンライン会議で議論を進めています。

※青・赤カメラは真空冷却装置付きの容器の開発と検出器の試験はJHUとPUが行い、中の光学系の組上げはマルセイユ天文物理研究所(LAM)とパートナーのWinlight社が行っています。