私、国立天文台(NAOJ)の職員です。 10月半ばにジョンズ・ホプキンス大学(JHU)で、分光器(SpS)に使われる検出器(CCD)の性能確認に立ち会いました。
PFSのSpSで使うCCDは、国立天文台(NAOJ)ハワイ観測所の超広視野カメラHyper Suprime-Cam(HSC)で使われているタイプと同じ完全空乏型CCDです。このCCDの読み出しエレクトロニクスの製作とCCDの性能確認はJHUが担当しています。訪問の目的は、青カメラに使われるCCDの性能確認です。先に述べた通り、このCCDはNAOJのカメラで使われているので、NAOJにはHSCで培った測定技術があります。そこで測定手法やCCDの性能を双方で確認して確かな情報と理解を得ることができるようにするためにお手伝いに行きました。
双方のシステムを確認する一番シンプルな方法は、同じCCDを複数の測定システムで測定し、その結果を比較することです。今回そのためにPFS用のCCDをまずNAOJの測定システムで測定し、そのCCDをJHUに持ち込むことにしました。双方の結果を比べれば、もし測定結果に大きな差があった場合に、その差を生じさせる問題が測定方法にあるのか、測定システムそのものにあるのか、読み出し回路なのか、CCDそのものなのかを切り分けることができます。
今回の訪問では、台風の影響で想定してた作業時間4日間が2日間になってしまいました。そのためCCDのテストデュワーへのインストールと数項目あるうちの一つの測定しか立ち会えなかったのですが、CCDは目的とする性能を達していると思われる感触をつかんでくることができました。残りの測定結果は、三鷹にも結果を送っていただき、JHUおよびNAOJで確認することにしています。
PFSは海外の諸機関との協力で開発されている国際プロジェクトですが、日本で培われた技術と知識が国内だけではなく海外でも役立てることができるのはとても嬉しいことですね。
おまけ1 (締め出されました…)
JHUの実験室は電子錠で施錠されており、カードキーで出入りします。その周囲の廊下の扉も17時(?)になると施錠されます。2日目は作業が多く遅い時間まで実験室にいました。ふとお手洗いに出た私は、あろうことかカードキーを借り忘れて外に出てしまい、実験室に戻れなくなってしまいました。近くの実験室には誰もおらず、まだ作業中の実験室は締め出された廊下から50メートルも先。廊下の扉を叩いても気づいてもらえません。しばらくうろうろしていましたが、私は諦めて、誰かに気付いてもらえないかな~と思いながら扉を”・・・ー ー ー・・・”(モールス信号でSOSと言う意味です)とたたいていました。すると5分もしないでセキュリティの方が現れたではありませんか。私はすぐに「同僚があっちの実験室で作業しているの!鍵を忘れちゃったの!!入れないの!!!」、と力いっぱい訴えて入れてもらいました。ホッとしましたけれど、セキュリティの方が通らなかったら、同僚が実験室からでてくるまでそのまま30分も待ちぼうけをしたことでしょう…。皆様、普段とは違う場所での行動には気をつけましょう!
おまけ2(ボルティモアの食事)
国立天文台の某教授から”ボルティモアに行くなら、クラブとロブスターが有名な食べ物だよ”と教えられていた私。食べる機会がありましたので、PFSのブログで初の食レポを…。
写真はホテルで食べたクラブケーキの一皿です。少し大き目のアイスクリームのような形をしたボールが2つとアスパラ。左の焦げ目のついたボールがクラブケーキです。ほぐされたカニの身(殻入)がふわっと丸められていて、外側が軽く焼かれていました。カニの甘みと風味があって美味しかったです。右はポテトのマッシュ。アメリカではポピュラーな食べ物の一つですね。そしてアスパラのソテー。いずれも基本の味付けは塩…かな。お好みでオーロラソース(かな?)をつけて食べるようです。なかなかシンプルな一皿なのですが、アスパラの塩がちょっと強かった…。よく考えてみると滞在中に食べた食事は、塩の濃いものが多かったなぁ。この辺りは冬寒いからでしょうか?繊細な味を知らないのか??・・・血圧高くならないのかな???