2019年10月4-7日にかけて、アメリカ/ニューヨークにあるコロンビア大学において、PFSサイエンス会議を行いました。
PFSサイエンス検討チームでは、PFSを用いた大規模サーベイ観測においてどのような観測をすべきかを集中的に議論するミーティングをほぼ1年に1回のペースで行っています (昨年の会議については過去の記事を御覧ください)。今回のミーティングでは、装置開発や望遠鏡での試験などの技術的な話題を始め、サーベイ観測プランの現状や各サイエンスワーキンググループ内で個別に検討してきた内容などをサイエンスチーム全体で共有しました。
すばる望遠鏡を用いて観測を行うためには、観測提案書(プロポーザルと我々は呼んでいます)を国立天文台ハワイ観測所に提出し、厳正な審査を経なければなりません。PFSサーベイでは合計300夜以上の大規模なものを想定しているため、その審査はより厳しいものとなります。その観測を行うことで何が分かるのか。そしてそれはなぜ重要なのか。その観測は本当にできるのか。など様々な事柄を限られたページ数の中で明確に示す必要があり、高い完成度が求められます。
サイエンスチームでは、このプロポーザルを実際に書き進めており、その内容についてサイエンスミーティングなどで議論を行っています。今回のミーティングで、プロポーザルの前半部分である、科学的意義に関する内容がほぼ固まりました。限られたページ数の中で科学的意義を端的に表す図についても熱い議論が交わされ、新しい案も幾つか出ました。今後、より洗練された図を作るべく、各ワーキンググループ内で議論が重ねられます。
プロポーザルの後半部分では、具体的な観測プランや実行可能性について記述します。似たようなサーベイ観測を行おうとしている世界の競合相手に対して我々が優位に立てるよう、とある観測領域を早く観測するなどの戦略的な計画が求められます。一方で、全体的な科学的成果をできるだけ最大化するように最適化する必要もあります。現在、様々な状況を想定したシミュレーションを行っていますが、今後サイエンス検討チーム全体として合意を取り、最終的な一つの観測計画としてまとめる予定です。