PFSの観測装置はすばる望遠鏡の主焦点面で受けた約2400個の天体の光を、長いファイバーを使ってドーム棟4階にある4つの分光器まで運びます。ファイバーケーブルは、(1)主焦点装置に組み込まれて天体に向けて配置される短いケーブル、(2)分光器に組み込まれてスリット入射部になる短いケーブル、そして(3)主焦点装置と分光器をつなぐ長いケーブル、の3つの部分から構成され、合計65mほどになります。
ファイバーケーブルはブラジル国立天文台(LNA)を中心に開発されていますが、これまでに、天体の像質をなるべくよく保つような研磨方法や3つのケーブル部分の接続方法の検討、長いケーブル部分の試作などが行われてきています。
(ファイバーの端面を研磨しているブラジル開発チームのLigia S. de Oliveira氏。)
今年8月に、ひとつの分光器に組み込まれるスリット入射部分がブラジルからフランスのマルセイユ天文物理研究所 へ輸送されました。スリットには焦点面から来た長いケーブルとつながっている約600本のファイバーと、試験やメンテナンス用の外部光源につながる16本のファイバーが一列に並んでいます。
(マルセイユ天文物理研究所に到着したファイバースリット。一部のファイバーに光を入れ、試験をしているところ。)
下の写真のように、分光器内の光路を遮らない様に、コネクタ部分からスリット部分までファイバーは分光器の上部と下部を通るように配線されています。スリットにはめ込んだ600本のファイバーの向き、像質の検査をしてから、マルセイユ天文台に輸送されました。
(分光器スリット部の写真。ファイバーは、分光器の上部と下部を通るように配線されます。Antonio C. de Oliveira 博士が輸送前の最終試験をしています。)
マルセイユ天文物理研究所に到着したファイバーケーブルは、試験用の光源付きケーブルに接続され試験された後、分光器に組み込まれまれる予定です。