分光器の部品・ダイクロイックミラーの試作品が完成しました


分光器に使う様々な部品がフランスに届き、組み上げや試験が始まっていることを以前紹介しました。
https://pfs.ipmu.jp/blog/2015/08/p17

今回はこのうちの一つ、ダイクロイックミラーについて紹介します。
PFSの観測装置は可視光から近赤外までの幅広い波長範囲のスペクトルを一度に取得しますが、実際には分光器に入ってきた光を3つの波長域に分割し、それぞれ「可視光域青」用・「可視光域赤用」・「近赤外域」の別々のカメラに導く仕組みになっています。この、光を分けるための光学素子を「ダイクロイックミラー」と呼びますが、PFSは2種類のダイクロイックミラーを使い、光を分割しているというわけです。

このダイクロイックミラーは、表面に特殊なコーティングをすることで、ある特定の波長よりも長い波長の光を透過し、短い波長の光を反射するようになっています。そもそも特殊なコーティングであることに加え、装置の最終性能に大きな影響を及ぼすことから、鏡に要求される性能が厳しくなっており、製造工程は簡単ではありません。そこで、試作・性能評価、それを受けての全体の設計の見直し・最適化などを繰り返しながら、最終的に分光器に組み込む鏡を製造しています。

先月、2種類のダイクロイックミラーのうち、可視光域赤の光を反射、近赤外域の光を透過するダイクロイックミラーの試作版が完成しました。この鏡も将来製造される実機同様マルセイユに搬送され、治具に組み込んだ後、カメラユニットやファイバースリットと同じく、組み上げ・調整中の試験用分光器に組み込まれた状態での性能評価が行われます。

IMG_20150904_134741 (ダイクロイックミラーの試作品)


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