PFSで目指すサイエンス


高田昌広 (IPMU) 著

今回はPFSで行う天文学を紹介します。

PFSプロジェクトには3つの大きな科学的な目標があります。

まず一つ目は宇宙論、特に宇宙の加速膨張にかかわっていると言われるダークエネルギーの謎を解明する事です。2011年のノーベル物理学賞の受賞理由となった宇宙の加速膨張の発見は、同時に「なぜ宇宙は加速しているのか、そしてどうなるのか」という新たな疑問の始まりでもあります。ニュートン、アインシュタイン以来重力は万有引力です。引力で宇宙膨張を減速させるはずの重力が、どのようにして膨張を後押しし加速させるのか、そのメカニズムは物理学・宇宙論における最大の謎です。PFSは減速から加速に変遷する宇宙膨張の歴史を前例のない正確さで計測することにより、宇宙の将来を予測することを目指します。

第二の目的は銀河の誕生と進化についての謎を解明することです。ビッグバンによる火の玉状態が収まった後、宇宙の夜明けである最初の星の誕生までの間に、宇宙に“暗黒時代”があったことはよく知られています。しかし原始ガスと最初の星から銀河やその中心にある巨大ブラックホールが形成したメカニズムはいまだ解き明かされていません。更に、銀河では活発な星の形成が数十億年前になぜか停止したのです。PFSは様々な時代の銀河を観測し、そういった銀河の誕生からの歴史を途切れなく調査できるように設計されています。

最後の目的は我々の天の川銀河の形成史を理解することです。現在運用中の欧州宇宙機関(ESA)のGAIA衛星とPFS装置を組み合わせることによって、数百万もの星の位置と運動を測定することができるようになります。また、星の分光データの解析により、星(少なくとも星の集団)がいつ形成されたのかを推定することができます。異なる年代の星々の運動について、ムービーを逆再生するように紐解くことにより、我々の天の川銀河の形成過程、起源を解明することを目指します。さらに、形成過程で重要な役割を果たしているはずのダークマターの痕跡を探ります。

690958main_p1237a1 (様々な時代の銀河:NASAより引用)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です