ファイバー配置モジュール組み立て中


PFSはすばる望遠鏡の主焦点面に敷き詰められた約2400本のファイバーを使って広い視野内の天体を観測しますが、個々のファイバーは『コブラ』と呼ばれる2段式のアクチュエータ()を用いて動かされます。以前紹介したように、ファイバーとアクチュエータはひとつの部品に組み立てられ、更にこの部品57個を1組のモジュールに組み上げてから、光学ベンチに取り付けられます。アクチュエータの大量生産が今年の初頭から始まって以来、最初のモジュールの組み立てがカリフォルニア工科大学(カルテク)で進行しています。ここでは、アクチュエータを担当するカルテクとNASAジェット推進所のチームと、ファイバーを担当するブラジル国立天文台(LNA)のチームが協力してモジュールを製作しています。
今回はアクチュエータに注目して記事を紹介します。

ひとつのモジュールにはアクチュエータが2列に並んでおり、これらのアクチュエータは2枚の電子回路を用いて1列ずつ制御されます。以下の動画では1列分(28個)のアクチュエータを同時に動かしています。今後はアクチュエータにファイバーが取り付けられていきます。

また、コブラモジュールの組み立てと並行して、アクチュエータを駆動するソフトの開発も進行中です。ソフトウェアはNASAジェット推進研究所(JPL)のチームが開発しています。視野内にある天体を隈なく観測できるように、個々のファイバーが動くことのできる『パトロール領域』は隣り合うファイバー同士で僅かに重なり合っています。その為、場合によってはファイバー同士が衝突する可能性がありますが、どのようにアクチュエータを動かせば衝突の確率を下げることができるか、また、アクチュエータが目標位置に効率よく収束するにはどのように較正を行うべきかなどの議論を積み重ねながら開発を進めています。また、アクチュエータの動きをシミュレーションし、衝突の傾向と対策を調べたりもしています。


(左から:『コブラ』のソフトウェアについて議論を行うNASAジェット推進所のヨハネス・グロス職員とカリフォルニア工科大学のダン・レイリー職員)

完成したコブラモジュールは、主焦点装置の統合・試験を担当している台湾のASIAAに輸送され、光学ベンチへ取り付けられ、ファイバーを装置の内部に取りまわしていきます。このとき、約8mあるファイバーを、ファイバーや他の部分を傷付けない様に気を付けながら狭い主焦点装置内に組み上げていかなければいけません。その為、ASIAAでは実寸大の模型を作り、組み付けの練習をしています。

(コブラモジュールの実寸大模型)


(コブラモジュールの組み付けの練習の様子。まっすぐ組み立てるためにガイドを使う。左から:中央研究院天文及天文物理研究所の陳心躍 (チェン シンヨウ) 技術職員、張蔭昌 (チョウ インチャン)技術職員、王祥宇 (ワン シャンユー) 教授)


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