英文:Shiang-Yu Wang [王祥宇] (ASIAA, 台湾)
PFSのサブシステムのうち、すばる望遠鏡の主焦点に取り付けられる主焦点装置をPFIと言います。ここには、約2400本ファイバーやその精密配置用アクチュエータ、観測領域を導入し望遠鏡の指向をガイドする為の6つのカメラ等、多くのモジュールが搭載されます。これらのモジュールは様々な機関で別々に組み立てられてから台湾にある中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA: Academia Sinica Institute of Astronomy and Astrophysics)に送られ、PFIとして組み上げられたら、すばる望遠鏡へ輸送される前に性能試験が行われることになっています。
このPFIの組み上げ作業、試験を行う為の設備が台中にある航空システム研究部門(ASRD)の建物内で完成しました。約3m立方の温度管理ができる部屋に、2次元の位置測定器のついた傾斜が変えられる支持台と制御室を備えたものです。この支持台にPFIが取り付けられた状態で行われる試験では、まずファイバー配置用アクチュエータ「コブラ」の基準位置を正確に測定したのち、制限時間内に目標位置へ充分な精度でファイバーを配置できるかを確認します。部屋の温度はマイナス10度まで冷やすことができますので、すばる望遠鏡でPFIを実際に運用する際に想定される温度条件(マイナス5度からプラス5度の範囲)を再現した上で試験をし、性能を確認することができます。
組み上げ作業や試験の開始は、コブラを搭載する光学ベンチが到着する6月頃になる見込みです。これを見据え、設備では現在2次元位置測定器とPFI接続部の較正が進められています。