高遠徳尚教授が 2021 年 5 月 14 日、お亡くなりになりました。主焦点装置(PFI) の最終組み上げ・試験作業に参加するため台中に出張中の 4 月 24 日に体調を崩され、同日に行われた緊急手術ののち、集中治療室に入院されていましたが、帰らぬ人となりました。享年56歳、高遠さんがこれからも様々な偉業を成し遂げ続け、我々は共同研究者としてその目撃者になることを確信していましたが、それが叶わなくなってしまい、大変悲しいです。
高遠教授はこれまで、PFS プロジェクトオフィスのメンバーとして、国立天文台ハワイ観測ののメンバーとして、いつも PFS プロジェクトの中心にいてくださいました。高遠さんは PFS 受け入れ責任者として、いかに PFS を高度に完成された装置として観測所へ受け入れるかを苦心してらっしゃいましたが、開発と受け入れを分断して考えるようなことはなく、むしろ初期の頃から開発に深く関わってくださいました。それは、1つの目的を共有し一緒にやっていかなければ開発も受け入れもうまくいかない、そう強く考えておられたからだと思います。
高遠さんは、プロジェクトがどのフェーズにあるかによらず、プロジェクトがどうあるべきか、従って我々が何を今やらなければならないか、よくご存知でした。高遠さんの指摘をきっかけに我々は顔を上げ大局を確認し、欠けているところ、テコ入れが必要なところを同定し手を打ってきたところは数え切れません。しかし同時に、実際にやるべきことを遂行し実装していくことがいかに大変かもよく理解しておられましたから、いつも我々に寄り添いながら現状の理解と今後の対策の構築に力を下さいました。そして決まって、高遠さんはその広い知識と経験や創造性に裏打ちされた、ちょうどよい方向性を打ち出してくれました。高遠さんのご尽力とご貢献がなければ、PFS は今我々が目にしているような形にまで進んでこられなかったですし、従ってこれからの発展もありえないことは明白です。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
国立天文台ハワイ観測所からの公式の訃報はこちらです。https://subarutelescope.org/jp/news/topics/2021/06/02/2959.html